組織改革を進め、労働生産性・売上2倍を実現
JPSA神戸支部 支部長
株式会社サインズスクエア 代表取締役社長
縁ある人を物心両面の幸福に導ける技術を体得している真の指導者「プロスピーカー」として生きる人物に焦点を当てた本コーナー。今回はJPSA神戸支部 支部長、シニアプロスピーカーの西村さんです。JPSA活動を会社経営にどのように活かし、組織改革を進めていったのか、その道のりをお話しいただきました。
2007年、私は株式会社サインズスクエアというデザイン会社を創業しました。新卒で入社した大手広告会社では史上最年少で管理職に昇進。その後入行した銀行でも全店一位。しかし、経営に関しては全く思い通りにはいきませんでした。私以外はデザイナーという専門職の組織。私の営業力で受注は取れるものの、次第に納品が間に合わなくなったのです。それでも拡大路線に走り2015年に関東へ進出。業績はさらに悪化し大赤字になりました。
そんな2016年、『頂点への道』講座を初受講。学びを進めるなかで明確になっていったのは、ずっと目を背けていた社員との人間関係でした。ある時、社内勉強会に来てくれたコンサルタントから「社長と社員さんの距離が遠いように感じます」と言われたのです。図星でした。そして「縁ある人を幸せに導く指導者」としてプロスピーカーを目指しませんかと提案されました。
当時の私は、どうすれば社員にもっと働いてもらえるか? と、社員に変わってもらうことばかりを考えていました。しかし、信頼していた社員も離職。薄々気づいていた、自分が変わらなければならないことに直面した気持ちでした。
そこで2018年、プロスピーカートレーニングプログラムを受講。特に、半年間で選択理論の学びを深め、今まで外的コントロールを使っていたことに向き合いました。そして、少しずつ外的コントロールを手放し、どうすれば社長に怒られないか? ばかり考えていた組織から恐れが無くなり、初受講から2年で黒字化。お陰様で2018年12月にベーシックプロスピーカーに合格できました。

生産性が2.5倍に向上
とはいえ、社内を巻き込むリーダーシップや育成力には、まだまだ課題を感じていました。そこで力を入れたのがアシスタントです。アシスタントに入れば、経営者という肩書も、雇用関係もありません。一人の人間として、目の前の受講生に質問・観察・承認・傾聴をとおして上質世界に入り、内発的動機付けを促すことにチャレンジできます。
特にプロスピーカートレーニングプログラムのアシスタントでは、JPSAのビジョンを語り、受講生がプロスピーカーになる理由、JPSAという組織でどのような自己実現をしたいか、願望を拡張し明確にする支援をさせていただきました。この経験はまさに、経営者として自社の存在理由を伝え、自社でなぜ働くのか、社員自身の目的目標を明確にする支援をし、内発的動機付けを促す関わりに活かされました。
デザイナーのなかには、コミュニケーションを取ることが苦手という方が少なくありません。当社の社員も、以前は「お客様と話したくない。デザインを否定されるのが怖い」と言うメンバーがいました。しかし、本当に本人が求めているものは何か。アシスタントで鍛えた関わり方を実践した結果、「今年はもっとお客様から指名が入るくらい活躍したい」と言われ驚きました。同時に、恐れではなく、心理的安全性の高い組織をつくり、質問と良質な情報提供によって上質世界を拡張する技術の価値を感じました。

学んだ支部活動
さらに大きな気づきを得たのは、2020年から支部長として携わった支部活動です。支部は、全員が本業もあるなかで無償で運営の協力をしています。早朝から、オフィスでオンラインミーティングをすることもよくありました。すると自然と感謝の気持ちが溢れ、心から「今日もありがとう」と支部メンバーに伝えていました。一方、その後出社した社員には、雑な挨拶をしている自分に気がつきました。プロスピーカーになってもまだ、どこかで社員は給料も出しているし、出社するのも働くのも当たり前だと思っていた自分を目の当たりにし、経営者としてのマインドを見直す機会になりました。
また、支部長就任直後は支部の業務を自分一人で抱え込んでいました。そんなとき、副支部長に「西村さんが困っているのに、応援することしかできなくてごめんなさい」と言われハッとしました。メンバーは役に立ちたいと思っているのに、私は人の力を活かせていない。その一言を機に、私はメンバーに「助けてほしい」「力を貸してほしい」と言えるようになったのです。仕事を委任し、私は支部長として、支部のビジョンを描き、その実現に向けて適材適所にメンバーを配置。さらに一人ひとりと話し、現場で成長したいテーマを聞き、支部運営をとおしてそれぞれの能力開発を促進する取り組みをしたところ、支部が活性化。
私は組織運営・育成に対して自信がつき、新卒採用にも着手。初めての新卒社員が誕生しました。支部で学んだ組織運営を会社でも実践し、受講前と社員数はほぼ変わらないにも関わらず売上は2倍以上に。一人当たりの売上は業界平均で1.7倍以上となり、シニアプロスピーカーにも合格しました。
かつての私のように、世の中には知らず知らずのうちに外的コントロールを使い、苦しんでいる人がいます。何より外的コントロールを使われた人は、もっと苦しいはずです。
「外的コントロールを社会からなくすこと」。これが私のビジョンです。そして自分の娘が大人になったとき、少しでもその世界に近づいていてほしいと願わずにはいられません。
その実現には、支部活動が必要不可欠だと確信しています。支部は、日本の津々浦々に選択理論とアチーブメントテクノロジーを学べる環境をつくることができます。そして私が支部会をとおして成長できたように、支部に携わるすべてのメンバーが成長できるのです。
これからもプロスピーカーとして挑戦を続け、支部活動をとおして業界・地域社会に貢献してまいります。