モンドセレクション最高金賞を世界最多連続受賞
認定ベーシックプロスピーカー
JPSA北の最果て支部 副支部長
株式会社壺屋総本店 代表取締役社長
縁ある人を物心両面の幸福に導ける技術を体得している真の指導者「プロスピーカー」として生きる人物に焦点を当てた本コーナー。今回はJPSA北海道ブロック担当副参事 JPSA北の最果て支部 副支部長を務める村本さんです。プロスピーカーを目指すなかで、直面したコロナ禍という逆境をどのように乗り越え、過去最高業績を達成したのか、お話しいただきました。

最高金賞を世界最多連続受賞
「会社が倒産しそうだから、帰ってきて助けてくれないか」。別の会社で修行を積んでいたときに、父から言われた一言でした。私の父は、祖父が創業をした北海道でお菓子を製造販売する壺屋総本店の三代目。「何事も1番になれ。それ以外はいらない」と厳しく育てられた私にとって、その一言が男として認められたようでたまらなく嬉しかったのです。2004年、私は会社を必ず復活させると心に決めて戻りました。前の会社では、20代で店長に昇格。その実績をもち家業に戻った私は、成果への焦りから「おれの言うとおりにしろ!」と、社員に正しさを押し付け、離職が増えていきました。そんなときに『頂点への道』講座を受講。講座で学んだ技術を素直に実行し、会社の業績は右肩上がりに成長していきました。
この頃を境に少しでも貢献の幅を広げようとカンボジアでNPO活動を開始したのですが、ここで出会ったある女性の言葉が私の人生を変えました。まだ幼い子どもを連れた彼女はこう言いました。「娘はこの国では幸せになれない。買ってくれませんか?」。愛する我が子を手放すことが、いかに苦しいか痛いほど分かります。それでもそうせざるを得ない環境に思いを馳せながら、自分には何ができるのかと考えたのです。いくらかの寄付はできるかもしれません。しかし、それだけでは決して根本的には解決しません。価値を生み出し、その価値をお金に変えることができ、豊かさを手に入れられる技術が、ここにこそ必要だと、そう強く思いました。と同時に、その場で何もできなかった自分の指導者としての力不足も痛いくらいに噛み締めました。講座で幾度と耳にしていた真の指導者である「プロスピーカー」を目指すときがついに来たかと、心に決めた瞬間だったのです。
ちょうどその頃、世を震撼させたのは新型コロナウイルスでした。事業活動はすべて自粛を余儀なくされ、あっという間に3億円の赤字に。社内にも混乱が走ります。「この在庫1円でも売上に変えたほうがいいんじゃないですか」
「いや売り場でコロナが蔓延したらどうするんですか」。社員の不安な声を聞き、冷静な意思決定が難しい状況でした。
私はその頃にプロスピーカー・トレーニング・プログラムを受講。正直こんな状況でプロスピーカーチャレンジをしていいのか。そんな思いを抱えていました。しかし、カンボジアで感じたあの不足感と強烈な使命感を思い出すと、学びから逃げる道はありません。むしろ指導者として私が成長して、会社をこのコロナ禍というピンチから必ず救うんだと、溢れ出てくる不安や迷いを断ち切って、学びを続けたのです。

この苦しい状況だからこそ、会社が掲げる『甘味求真』という理念とは何か、理念からどう行動をするのか必死に考えました。会社に帰れば、周囲からの様々な声に「目先の売上を考えた方がいい」と頭をよぎることもありました。しかしプロスピーカー・トレーニング・プログラムでは、何度も理念やビジョンをアウトプットします。受講生の仲間とプレゼンやフィードバックを繰り返し、翌日また現場に戻る。毎週アウトプットを行い、理念からの一貫性に立ち返り続けることができたのです。この学びの環境が自分を守ってくれました。会社では幹部社員との足並みを揃えることが最優先だと思い、壺屋総本店の現在から未来に対して何をしていくのかを考えるブランディング研修をスタート。壺屋総本店は何を大事にすべきか、お客様は何を求めているのか。1年かけて幹部と考えました。そこで出たアイディアを実践し続けることで会社が一歩、また一歩と変化していったのです。
明確にした行動指針を貫き続け、2021年には業績がV字回復。理念発信型店舗の「き花の杜」では年2回の工場祭を開催し、2022年に約4万人の過去最高集客を突破しました。そして2023年には過去最高業績を達成。コロナ禍においてもモンドセレクション最高金賞最多となる37年連続受賞を守り続けました。会社の利益だけを考えていたら、クオリティを下げたコストカットやイベントの自粛を選んでいたかもしれません。しかしお菓子づくりをとおして創りだしたい未来を明確化し、お客様を最優先に考え続けたことで本当の意味での顧客満足が生まれたのです。その結果満足したお客様が力を貸してくださり、過去最高業績を達成することができました。これらはプロスピーカーを目指すプロセスで得られた成長であり、指導者としてぶれない生き方を手に入れることができたのです。
プロスピーカーとは縁ある人を物心両面の幸福に導ける技術を体得している真の指導者のことです。カンボジアで何もできなかった自分。その無力感からプロスピーカーになることを目指し、2022年に合格。人生の転機となったカンボジアという国への支援は、学校建設から始まり「サスティナブル・カカオ・インフラストラクチャー」というビジョンに進みだしています。開発途上国の社会的・経済的・環境的課題の解決により、持続可能なカカオ産業実現を目指していくということです。そしてその先には現地の方々の自己概念が上がる取り組みに力を入れていきます。具体的には、カンボジアンカカオで作られたチョコレートで世界一を目指します。それが、現地の方々にとって、自分が作った商品への誇りにつながり、仕事・祖国への誇りにつながり、結果的に自分の存在を誇れることにつながるのだと思います。プロスピーカーとしての使命を全うし、貢献の幅をこれからも広げ続けてまいります。